This is us
先生との面談の時間を少し過ぎてしまったけれど、まだ前の生徒との面談が終わっていないようで。
階段をかけ上がってきた私は、呼吸を整えながら廊下に置かれた椅子に腰を下ろした。
自分の進路なんて、考えている暇がなかった…
もちろん、親は進学を望んでいる。
ガラガラっとドアがスライドして、クラスメートが出てきた。
げ…。
きつく私を睨みつけて、本川さんはとっとと行ってしまう。
私の前って本川さんだったんだ。
不意をついてあたふたしていると、中から先生が顔を出して。
「小田切、入っていいぞ」
「は、はい!」
手招きをして、促されてしまった。
黒縁眼鏡に、少し薄くなった頭、陰でのあだ名はハゲ眼鏡。伊藤先生はわざとらしく咳払いをした後、私の成績表を机の上に広げた。
「小田切、どうだ?ちゃんと進路は決めてあるのか?」
「まあ…そうですね。まだちょっと色々と…いや、あの」
「はっきり言うとな、大学進学はこのままだと厳しい」
私のしどろもどろな返答を遮って、ハゲ眼鏡は強く言う。
先生が指差すのは、学力テストの点数達で。
私はぎょっとして見入ってしまった。
自分の中ではそれなりにできたと思っていたのに…
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