This is us

Side Ren



「蓮ちゃん、小田切さんと喧嘩でもした?」

「いや」

佐々木は気を遣ってか、いつもより小さな声で言った。その表情は真剣でいて、俺を心配しているのだろう。眉間にシワが寄っていて。


「本当に?最近全く顔合わせてないじゃん」


松川にも同じことを聞かれたな。確かに俺達の間には見えない距離ができていた。
でもそれは全て自分に原因があると思っている。

例えば俺が佐々木みたいな性格だったら、こうはなっていなかったかもしれない。

「あぁ、なんか勉強に専念したいらしいから」

「…にしてもさ。なんかお互いに気まずいですオーラを出してるじゃん」

さとりに対する気持ちが冷めてしまったわけではない。毎日四六時中彼女の事が頭に浮かぶし、授業中目で追ってしまう自分がいる。

好きだからこそ、自分じゃ駄目だと何度も思ってしまう。
こんな情けない自分では、彼女を支えることも出来ない。


苦しい。すごく。


どうしようもなく、胸が痛む。


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