This is us
さとりからの返信はないまま、次の日になってしまった。何を期待していたのか、俺は眠れないほど携帯をしきりに気にして。
メールを受信する度に心臓が跳ね上がるけれど、いたずらメールやメルマガに溜息を吐いた。
学校でどんな顔してさとりに会えばいいのか。
学校へと向かう足取りは次第に遅くなっていく。
家を出る直前に見た天気予報では、今日は午後から雨らしく、どんよりとした雲が空を覆っていた。
雨…
皮肉にも俺達の距離を縮めたのは、いつも雨だった。
さとりに想いを伝えたあの日も。
懐かしく思いながらも、ぎゅっと胸を締め付けられるように苦しくなる。
「蓮ちゃん、おはよう」
突然後ろから佐々木に肩を叩かれた。
佐々木はいつもと変わらず笑顔で立っていて。
今はそれが眩しすぎて、俺はすぐに視線をそらした。
「あれ?元気ない?」
「佐々木…」
俺は、佐々木のバッグを掴んでそのまま校舎裏へと連れて。
「…どうしたんだよ?」
周りに誰もいないことを確認した後、俺は静かに口を開いた。
「…あいつに、別れようって、言った…」
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