This is us


さとりからの返信はないまま、次の日になってしまった。何を期待していたのか、俺は眠れないほど携帯をしきりに気にして。

メールを受信する度に心臓が跳ね上がるけれど、いたずらメールやメルマガに溜息を吐いた。

学校でどんな顔してさとりに会えばいいのか。
学校へと向かう足取りは次第に遅くなっていく。

家を出る直前に見た天気予報では、今日は午後から雨らしく、どんよりとした雲が空を覆っていた。

雨…


皮肉にも俺達の距離を縮めたのは、いつも雨だった。

さとりに想いを伝えたあの日も。


懐かしく思いながらも、ぎゅっと胸を締め付けられるように苦しくなる。


「蓮ちゃん、おはよう」

突然後ろから佐々木に肩を叩かれた。
佐々木はいつもと変わらず笑顔で立っていて。

今はそれが眩しすぎて、俺はすぐに視線をそらした。


「あれ?元気ない?」

「佐々木…」

俺は、佐々木のバッグを掴んでそのまま校舎裏へと連れて。

「…どうしたんだよ?」


周りに誰もいないことを確認した後、俺は静かに口を開いた。


「…あいつに、別れようって、言った…」


.



< 348 / 388 >

この作品をシェア

pagetop