This is us
「集合」
「はいっ」
橋本先生が、集合をかけて部員達が丸くなって集まる。
早朝から夜まで続いた練習も、もうすぐ終わろうとしていた。
「明日は、後悔しないように全力でやってきなさい。絶対に下を向かない事。今までやってきた練習は、無駄になんてならないから…」
時に厳しく、時に優しい先生。
いつでも真っすぐ私達を見てきた。
どんなに忙しくても、会議で遅くなっても、必ず顔を出してくれる。
「田中、部長のあなたは人一倍みんなを気遣かって、的確な判断で部をまとめあげてくれた。どんな時も練習に前向きに励んで、田中がいるだけで周りが明るくなる。本当にいい部長だったわ」
先輩一人一人に向けて、先生は話し出した。
思い出しているのか、どこか懐かしむような、語りかけるように優しい口調に、私まで瞳が熱くなる。
「最後に前田。あなたは本当に悔しい思いをしたと思う。でも、最後まで部活の為に、みんなの為に支えてくれた。弱音や愚痴を吐かずに頑張ってくれたね」
前田先輩は、手の平で顔を覆って小さく震えていた。
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