This is us
「ううん…私が、ちゃんと、結城くんに相談しなかったのが、悪いんだ…」
「いや、俺が弱かったんだ」
そっと肩を抱き寄せて、小さく震える彼女を包み込む。
「俺、言葉が足りなくて…これからもさとりを苦しめるかもしれない。でも、全部伝える。ちゃんと、目を見て伝えていこうと思う」
「…私も、全部伝える」
ほんの少しの歪みで、たった一言を言えない事がこんなに二人の距離を遠ざける。
見失いかけて、その尊さに気付く。
間違っても、支えて伝えてくれる友達がいる。
独りでなんて生きていくよりも、それはずっと
呼吸が楽なんだと感じた。
窮屈な世界から、解放されたように新しいものが次から次へと見えてくる。
「本当…良かった…」
さとりは腕の中でそっと呟いた。
俺は応えるように強く力を込める。
「…ごめん」
鼻水を啜りながら、彼女は首を横に振って。
今までの時間を埋めるように、俺達は暫くそのまま抱き合っていた。
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