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Side Satori



「おめでとーう!!」


バースデーケーキの蝋燭を吹き消すと、皆が拍手をしながら言ってくれた。

今日は私の18歳の誕生日。

優花と結城くん、佐々木くんが集まって。

「ありがとう」

嬉しくて笑顔が溢れる。

結城くんとも縺れた糸を結び直す事が出来て、ほっとしている。あの日、全てが終わってしまったような絶望感に襲われて。

もう二度と結城くんの隣を歩けないんだって思った。

お互いに臆病すぎて、口にできなかった言葉。
これからはちゃんと伝えていこう、そう誓って。

「ケーキ食べよう!!」

優花がお皿にケーキを取り分けて私に渡した。
チョコプレートに"さとり おたんじょうびおめでとう"と書かれていて、食べてしまうのがもったいない。

「ほら、佐々木。盛り上げ役なんだから、一曲何か歌って」

「よし、なに歌おうかなー」

四人でカラオケに来るのは初めてだ。

「蓮ちゃん、一緒に歌う?」

「いや、お前一人で歌えよ」

「冷たいなー」


結城くんは、私を見て柔らかく微笑んだ。
心がポカポカと温まる、優しい瞳。

「ほら、そこイチャイチャしないのー」

見つめ合っていた私と結城くんは、優花にばっちり突っ込まれ。

二人の世界に入りそうになっていた私は、きっと顔が真っ赤に違いない。


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