This is us
そろそろ中間テストが近付いてきた。
二期生だから、他校と比べたら範囲はものすごく広い。
「ゆ、結城くん…」
「何?」
だいたい言いたい事は分かるけれど。
彼女の机の上には、ルーズリーフが一枚寂しそうに出ているだけだ。
「教科書忘れてしまいました…見せてください」
「ほら」
少し離れた机を寄せて、真ん中に教科書を広げる。
「ありがとう」
英語の授業は教科書の文に添って進められていくから、絶対に忘れないようにしている。
"置き勉"が出来ないのは、盗まれるからでもあるけれど。
さとりが電子辞書で単語を調べながら、黙々とペンを走らせているのを横目で見た。
長い睫毛が影を落として、真剣にルーズリーフを英文で埋めていく姿は、触れたい衝動に駈られる。
ほんのり色づく頬に手を伸ばして…
「……?」
ふと気が付くと、教科書の端に何か書かれていた。俺は目を細めて確認する。
"This is us "
女の子らしい丸みのある綺麗な字は、彼女が書いたもの。
どういう意味だ…?
よく分からずに目配せすると、さとりは得意気に笑みを浮かべた。
"This is us "これが、私達。
さとりのルーズリーフに視線を流すと、そこには下手くそな落書きがしてある。
なんだこれ?
暫く見つめて、やっとその意味に気付いた。
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