This is us
Side Satori
「なんと!小田切さとり、今回赤点がありませんでした!」
昼休み。今日は朝から眩しいくらいに太陽が高く輝いていて、久しぶりに屋上でお弁当を広げた。
「やったじゃん!」
「さとり、よく頑張った」
佐々木くんと優花は拍手をして、喜んでくれているけれど。
「ギリギリだろ?ギリギリ」
「ギグッ…」
結城くんはやっぱり手厳しい。
「その濁点会話、第三者から言わせてもらうと非常に変!」
「小田切さんギリギリーってか?」
「佐々木くん馬鹿にしてる?」
佐々木くんを軽く睨むと、亀のように首を竦めた。
「すんません」
「あはは、さとりに怒られてるー」
青い空に、笑い声が響く。
最後の大会までもう一ヶ月ない。
最近になって、やっと先生に誉められる事が増えたのに。残された時間が少なすぎて、もどかしいけれど。
だからこそ、限られた部活の時間を大切に全力で頑張ろうって思った。
テストも無事に終わったし、来週からは朝練と昼練を再開する。
少しでも、いい結果を残して終わりたい。
後悔だけはしないように。
もうすぐそこに、夏は来ている。
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