This is us
ジャンプした時、頬に感じる微かな風が好き。
技が成功した時の安心感と達成感に包まれた気持ちがたまらない。
こまのようにこのまま飛んでいけそうなくらい、ふわりと柔らかくフェッテを繰り返して。
指の先の先まで伸ばして、魅せる。
たった一度の通しでも、全身から汗が噴き出した。大きく肩が上下して、呼吸が乱れる。
「お願いします」
先生の周りに素早く集まり、言葉を待つ私達一人一人と先生は瞳を合わせた。
こうして指導を受けられるのも、限られているんだ。
「要が皆よりもワンテンポ早い。顔の向き、視線がバラバラ。小田切は足、まだ上がるはずよ」
「はい」
問題点はまだまだたくさんあるけれど、先生は的確に丁寧に指導してくれる。
何度も踊りこめば、それなりに体力もなくなってくるし、持久力も大切だ。
残っている力を振り絞って、もう一度曲に合わせて踊り始める。
少しでも甘えや限界を感じてしまったら、そこで全てが駄目になってしまうから。
諦めない。絶対に。
「さとり!?」
優花の叫び声と同時に、全身に痛みが走った。
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