This is us
「結城くんとここから見る景色はやっぱり違うなー」
「どういう意味?」
放課後、部活へ行く前の少しの時間。
結城くんと屋上に来ていた。
大きな柵が視界を邪魔しているけれど、去年に比べてより鮮やかに見える。
「ひとりで見るよりも、いいって事」
「確かに、そうだな」
彼は空に向かって大きく伸びをして言った。
肺にいっぱい新鮮な空気を入れて、瞳を細める姿に釘付けになる。
太陽が彼の髪を明るく照らして、蜂蜜色に染め上げて。キラキラと光り輝いていた。
「今日で、最後…か」
「うん」
「頑張れよ」
今日が最後の部活。
明日は学校を公欠して、大会へ行く。
あっという間。本当にあっという間だった。
結城くんに送り出されて、私は部室へと走る。
いつもと変わらぬこの習慣も、今日で最後なんだなんてまだ信じられないまま。
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