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「結城くん!!」


夏期講習帰りのさとりと駅前で待ち合わせ。

夏休みに入って初めてだから、かなり久しぶりに会った。

高い位置で結んだポニーテールが、よく似合っている。

恥ずかしくて片手を軽く挙げて、さとりに近づく。

「勉強、どう?」

「毎日朝から晩まで勉強で頭おかしくなりそうだよ」

そう言いながら嬉しそうに笑う彼女は、遠慮がちに手を差し出した。

その手を握って歩き出す。


「嬉しいなー!結城くんとデート」


さとりが満面の笑顔を俺に向けた。太陽のように明るくて、心が弾む。

自然に笑えるようになったのは、この笑顔のおかげだ。

さとりと一緒なら、どこに行ったって特別になる。楽しくて、時間が経つのがすごく早い。


「ここのケーキ美味しかったね」

「あぁ」

空が暗くなっていく。
オレンジ色の夕日がチョコレートのように溶けて、群青色が増していった。

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