This is us



卒業式。


穏やかに晴れた、まだまだ寒さの残るこの日。



騒がしい教室はいつもと変わりなくて、全然実感がない。



なのに、今日で最後。

そればかりが胸で何度も繰り返し鳴る。



「佐々木!あんた泣きすぎ!こっちまで泣けてくるじゃない」

「だってえー…」


佐々木くんがわんわん泣いているのを、優花もな泣きながら慰めている。


それを見て私も鼻の奥が痛くなった。


「優花ちゃんー!卒業したくないよー」


「じゃあ、留年でもしなさいよ」


「蓮ぴょーん、優花ちゃんが冷たいよ~」


私、このやりとり見るのが好き。
泣きそうになったけれど、笑いが込み上げる。


「小田切さんも!何笑ってるの」


「佐々木くん、泣きすぎてサルみたいだよ」


「余計泣けるぜー」


私が卒業式で泣いたのは、担任の先生が優花の名前を呼んだ時だった。


「松川 優花」


「…はい」

いつも凛としている優花の声が、少し震えていて。


あぁ、本当に卒業するんだなって。


たくさんの思い出が一気に溢れて、涙がこぼれたんだ。



.



< 383 / 388 >

この作品をシェア

pagetop