This is us
「お疲れ様、よかったよ」
「…りがと」
優花からタオルを受け取り、顔を埋める。
柔軟剤の香りが、優しく包み込んで鼻の奥がツンと痛かった。
終わったんだ。
すごく短かった気がする。
胸に詰まっていたもやもやが、すうっと引いていくのが分かった。
もっと、もっと。
練習しなくちゃ…
そう思ったら、急に苦しくなって涙が溢れた。
「さとり?」
「うん…悔しい。私の投げたリボンが曲がってたから長谷部先輩受け取れなかったんだ」
「少し力んじゃっただけだよ。今までで一番良かったよ」
優花が一生懸命慰めてくれる。
頭をぽんぽんと撫でて、“大丈夫だから”って。
何の根拠もないけれど、それだけで不思議と安心出来たんだ。
首を垂らした向日葵のようだと、優花がそんな私を見てくすくす笑う。
「ほら、先輩達も心配してるから行こう?」
「うん」
手を引かれて歩き出した。
この悔しさが、いつか喜びに変わればいい。
そんな事を思いながら。
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