This is us
「蓮!あんた今どこにいるのよ?」
姉からの着信に通話ボタンを押した瞬間、怒鳴り声が鼓膜を響かせた。
うるせっ…
受話音量を最小限に下げながら、携帯を耳に当て直す。
「聞いてんの?答えろ!」
「なんだよ、うるせぇ」
どうしてそんなにピリピリしているのか、全く分からない。
いつものように女の家にいた俺は、ちょうど別れて一人になったところだった。
「あんた誰に口きいてると思ってんの?帰ってきたら半殺しにしてやるから!」
「…好きにすれば?」
「キーッ!生意気なガキ!いいから今すぐ帰ってこい!帰ってこなかったらあんたの秘密バラすから!」
一方的に切られた電話。
本当、うぜぇ。
仕方なく家へと向かう俺。
ひょんなことから弱みを握られてしまってからと言うものの、奴は俺を脅迫しては思いのままに俺を操る。
出来ることなら、奴の記憶を抹消してやりたいけれど。
「チッ…」
もうすぐ夕方になる淡い色の空を見ながら、歩き出した。
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