This is us
「あ…」
ぽつり、ぽつりと。
暗くなりかけた空から、雫が落ちてくる。
「雨だ…」
なんて言っている間に、どんどん速さを増して雨が落ちてきた。
「最悪〜ぅ」
「とりあえず、建物の中入ろう?!」
ざあっと降ってくる雨。
周りの人々も、皆慌てて雨を避けようと走り出す。
どっと押し寄せる波に、小田切が困ったように瞳を泳がせた。
あいつ…
どんどん遠ざかる小田切の周りには、相原となつめの姿が見当たらない。
俺は人を掻き分けながら、小田切の元へ向かった。
バカじゃねぇの?
何やってんだよ。
浮かぶのは非難する言葉ばかりのはずなのに、今にも泣き出しそうな小田切の顔を見ると、おかしなくらい胸が疼く。
「行くぞ」
「えっ?!」
小田切の手をとり、人と人の隙間を縫うように進んだ。
未だ状況を理解していない小田切は、瞳を真ん丸にしていて。
容赦なく打ち付ける雨は、あっという間に俺達をびしょびしょにした。
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