This is us
巾着の中に入った携帯が、何度も震えているけれど。
どうしていいのか、分からない。
絶対に、相手は相原くんだと思うから。
「…出ないの?電話」
「…そっちは?出なくていいの?」
鳴っているのは、私の携帯だけじゃなかった。
なつめちゃんも彼に電話しているんだ。
そう思ったら、つい責め立てるような口調になってしまった。
「めんどくせぇから出ない」
そう言って、彼はブランコから静かに立ち上がると、こっちに向かってくる。
私はごくりと唾を飲み込んで、ギュッとブランコの鎖を握った。
「ほら、冷めちゃうから」
差し出されたのは、さっき商店街の屋台で買ったお好み焼きで。
パックと輪ゴムの間に、割り箸が挟んである。
「いただき…ます」
何考えてるんだろ、私。
変な期待をしてしまった。
のに…。
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