This is us
Side Ren
胸が、ムカムカする。
空腹で胃がおかしくなったのか。
それとも、目の前で小さく肩を縮めている小田切のせいなのか。
分からないけれど…。
「…まぁいいや。とりあえず食うか」
小田切が座っているブランコから手を離す。
思えば、かなりの至近距離だった。
「うん…」
お互い視線を合わさぬまま、再び沈黙が訪れる。
すっかり冷めてしまったお好み焼きに、箸をつけて食べ始めたものの。
まるで自分の身体じゃないみたいな不思議な緊張感に、息苦しさを覚えた。
「…もうすぐ、花火だね」
先に沈黙を破ったのは、彼女で。
月の光に照らされて、淡い青に包まれた彼女の横顔が、微笑んだ。
柔らかくて、触れたら消えてしまいそうな儚さを備えて。
返事をしない俺に、ふとこちらを見た彼女と、視線が重なった。
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