This is us
「あーぁ、終わっちゃったね」
花火は、あっという間に終わってしまった。
空にはまだ白い煙が余韻を残して、寂しそうに漂っている。
「じゃ、帰るか」
「うん…」
不思議、だよな。
隣にいるのは、なつめじゃなく、小田切さとりで。
もう関わる事なんてないって思っていたのに。
「家どこ?」
「え?」
先にブランコから立ち上がった彼女が、目を丸くして振り向く。
一瞬、瞳を泳がせた後ニッと頬を持ち上げた。
「学校から北へ徒歩10分かな」
「あぁ、田んぼじゃない方か」
意外と近いんだ。
俺の家と反対方向だけれど。
「そ、栄えている方!」
その言葉に少しムッとする。
確かに、小田切の家の方角はマンションや住宅街が増えてきて。
俺が住む所よりも、はるかに家の数は多い。
「俺ん家、田んぼが多い方」
そう言うと、小田切ははっと目を見張った。
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