This is us
「じゃあ、遠くなっちゃうね?いいよ、学校までで」
「いや、いいよ。そんくらい」
「…ありがと」
彼女は、鮮やかな黄色い花を咲かせた向日葵のように、深く笑う。
「やっぱり、結城くんて優しいんだね」
「やっぱり?」
人が疎らな夜の道を、ゆっくりと歩いていた。
賑やかな虫の鳴き声が、辺り一帯に響いている。
「第一印象、すんごい悪かったし」
「お前だって」
「私は、なんて言うか…お高くとまってる態度がムカついたんだよ。でも、全然思っていたような人じゃないって分かった」
思っていたような人、か。
特に色々な噂がある俺は、他人から見ればそういう先入観が強いんだろうな。
何だか可笑しくなって、鼻で笑った。
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