This is us
Side Ren
「悪りぃ、俺帰るわ」
「えぇ?!ちょっと?待ってよ!!」
待ち合わせ場所に向かったものの、やっぱり気が乗らなくて。
騒ぎ立てる女を無視して踵を返した。
祭りに行って以来、俺はそんな事ばかり繰り返していた。
きらびやかに着飾った女を目の前にすると、吐き気がする。
夏の日差しが眩しくて、足早に家へと歩いて行った。
あの日、小田切を送ってから家へ帰ると、家の前で姉となつめが待っていて。
泣きじゃくるなつめを姉が一生懸命宥めていた。
「あー!!あんた今までどこほっつき歩いてたの?!」
「…別に」
「別にじゃないでしょ!?彼女ほったらかしにするなんて信じられない!」
鼓膜が破れそうなくらい大きな声で怒鳴る姉に、深い溜息が出る。
「途中で逸れただけだろ?ほったらかしになんてしてねぇよ」
「あんた言い訳する気?」
うっぜぇ…。
じっと睨み合っていたら、姉のマネージャーの車が滑り込んできて。
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