This is us
「あぁ、なつめちゃんごめんね!後でこいつぶっ飛ばしておくから!」
そう言い残すと、そのまま車へ飛び乗って去って行った。
一気に静まり返り、気まずくなった俺はそのまま家の中へ入ろうとするけれど。
「…蓮」
か細いなつめの声に呼び止められ、振り返った。
「悪かった…」
「……もういいよ」
俯いたまま、なつめは自分の家へ逃げるようにして入って行った。
それから顔を合わせていない。
退屈で長い夏休みは、あっという間に過ぎて行った。
胸がもやもやしたまま、久しぶりに制服を纏う。
薄いブルーのワイシャツに、緩くネクタイを締めて。
怠いけれど、仕方なく家を出た。
いつもは、なつめが待ち伏せしている。
が、今日はその姿がない。
まぁその方が楽でいい。
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