This is us
「あー!さとりっ!何処行ってたの?!」
集合場所に戻ると、優花達が駆け寄ってきた。
「休憩休憩!だって一位だしぃ」
ニカッと明るく笑って。
さっきまでの嫌な気分を忘れたかった。
かさぶたのように引っかかる、このモヤモヤした感じを。
「あんなに掃除で疲れてたくせにぃ〜!さっすが!」
優花にバシンっと背中を叩かれて、またいつものようにお喋りに花が咲く。
彼とはもう、話すことなんてないだろう。
だから、どうでもいい奴のことでいちいち落ち込みたくない。
それなのに、『…うざ』って言われた低い声や、見下すような冷たい瞳が頭から離れない。
それは小さな傷となって、心にしっかりと刻み込まれた証であって。
夕焼けに染まる深いオレンジ色の空を見つめながら、静かに溜息を吐いた。
思えば男の子に悪態をつかれたのも、うざいなんて言われたのも初めてだった…。
ましてや学校中が騒いでいる男の子に言われたから、余計にショックだったのかもしれない。
.