This is us
「謝るなら原に謝れば?」
「…え?」
なつめちゃん…?
「俺、見たんだよね。二人が祭りから帰るところ」
二人って…
一気に血の気が引いていく。
「小田切さんて、大人しそうな顔して平気で人の男盗るんだね」
「えっ私盗ってなんか!」
「盗ってないって言えんのかよ!?」
突然怒鳴った相原くんに、私はびくっと肩が震えた。
「原は、ずっと結城が好きなんだよ。祭りだって一緒に行くってすごい楽しみにしてて…それを、小田切さんは結城と二人で…」
涙が溢れる。
よく分からない…
泣く資格なんて、ないのに。
「正直小田切さんには幻滅した。もう顔も見たくないし」
蝉が、遠くで泣いていた。
今にも消えてしまいそうな、儚い音色を奏でながら。
私は何も言えないまま。
戻っていく相原くんを呼び止める事なんてできなくて。
燃えるように鮮やかな緑の芝生の上に、ぺたんと座り込んだ。
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