This is us

Side Ren




帰ろうとしたけれど、やっぱり気になった俺は二人の後を追いかけた。


渡り廊下から中庭に入っていく二人。


一定の距離を保ちながら、木の陰に身を潜める。


蝉の鳴き声が五月蝿くて、何を話しているかは分からなかった。


けれど、拳にぐっと力を入れている小田切の後ろ姿が、心なしか震えている。


相原が何か話し始めた。

険しいその表情から、場の雰囲気はかなり悪いのだろうか。


ごくりと唾を飲み込む。


俺、何やってんだか。


こんな趣味があったのかと自分を疑う。


いや、二人があんな風になったのは少なくとも俺に責任があるから…。


なんて自分で自分に言い訳をして、その場に留まる。


ふと気が付くと、もう既に相原は立ち去っていて。



小田切が突然ぺたんと座り込んだ姿を見たら、体が勝手に飛び出していた。



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