This is us



「…あ、蓮」


「………」


校門の前でなつめに呼び止められた。


俺を待っていたのか、壁に寄りかかっていた背中をぱっと離して。


俺に歩み寄る。


「…一緒に帰っていい?」

「…別に、いいけど」


久しぶりに見たなつめは、瞳をキョロキョロと泳がせていて。


気まずそうに、俺を見上げた。


そのまま、無言で歩き出す。


「ねぇ」


少し歩いた所で、なつめが声を発した。


俺は目だけなつめに向ける。


「…蓮ってさ、」




「さとりちゃんが好きなの?」



心臓が大きな音を立てて、弾んだ。

思いがけない言葉に、どんどん脈が速くなっていく。


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