最強不良姫 ―黒蝶―
――皆、息を呑んだ。
その視線の先には、紅い中で
眉を寄せて苦しむ愛華。
「…み…ん、な……。
私…は、大丈…夫……だ、から…
っ……水りゅ…う、を……。」
“捕らえて”
後に続くであろう言葉は、
亜由美によって止められた。
…出血量が凄い上、話していたら
余計に体力を消耗してしまうからである。
…一方、佐倉兄弟(愛華を除く)は、
水龍に対し(殆どは青龍に向けられていたが)
有り得ない程の殺気を出していた。
「…許せない……。
……美蝶さんを…美蝶さんを、撃った…。」
声が、怒りで震える美瑠紅。
「………同感。」
いつもの穏やかな声とは違い、
有り得ない程低い声で言う潤。
「……俺もだ。」
いつものバカな感じとはまるで違い、
別人のような低く、怒った声の旬。
「……右に同じです。」
倒れた後仰向けになりながら、
それでも殺気を水龍に向けている信哉。
「…………。」
いつもは煩い幹也は、最早無言。
その他、星斗や武を含む舞蝶の皆も、
勿論殺気を出して怒っていた。