最強不良姫 ―黒蝶―
それに気付いた亜由美は、
一瞬目を見開き、すぐに辛そうな顔になった。
(…ごめんね……愛華…。
痛いのに…私は、何も出来ない……!!
もし、私と愛華が逆だったら…
愛華は、これよりも上手に、
沢山処置してくれるんだろうね…。
…ごめんね。何も出来ない私を、
許して……。)
「……ん…。」
愛華が、眠りながら何かを言ってる。
何を言っているのか聞こうとして、
亜由美は愛華の顔に耳を寄せた。
「…ま…き……。
ごめ…ん…ね……。」
そう言った愛華の閉じられた目からは、
涙が一筋、零れていった。
「…あ…ゆみ……。
…ご…め……んね…。」
それを聞いた亜由美は目を見開いた。
…その目からは、大粒の涙が溢れていた。
「…愛華っ…!!
…こんな私を、許して…くれるの――?」
両目を片手で覆いながら、
亜由美は片手で愛華の手を握り締めた。
“ありがとう――。”
そんな意味を、込めながら。
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