最強不良姫 ―黒蝶―
先程から、皆が手を止めて
目で追うのも大変な攻防戦を見つめた。
「――凄いわね…。
流石、美蝶さん……。」
亜由美――桜蝶がそう言うと、美瑠紅は頷いた。
「…美蝶さんは……。
…まだ、手加減をしているのが
はっきり分かるけれど…青龍の方は、
もう余裕が無いみたいね。」
殺気も最早これまでか、と呟く美瑠紅は、
面白くなさそうな顔をしていた。
「…どうしたのよ?冷蝶?」
そんな美瑠紅――冷蝶に
呆れながらも訊く桜蝶。
「…だって……。
“県No.1って言われてるんだから、
強いから見てて楽しめそうだなー”って
思っていたのに…この程度だなんて……。」
口を尖らせてそう言う冷蝶は、
最早全国No.1の幹部には見えない。
駄々を捏ねる子供の様だ。
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