最強不良姫 ―黒蝶―
――この時からだった。
…いや、もしかしたら
その前からかも知れない。
私達の輪が――絆が、
複雑に絡み合っていて、もう
解けないようにした筈の、絆が。
――まるで、複雑に絡み合った糸を、
解いたかのように。
ただ、真っ直ぐな線を
描くだけになっていた。
誰か別の第三者が切った?
いいえ、違う。
一本一本に、複雑に
絡み合っていた“痕”が
残っているから、切ってはいない。
だけど。
この“糸”は切らないと離れないのに。
何故?
この糸を解くなんて面倒臭い事しても
誰にも利益は無いでしょう?
――一つだけ分かる事。
“それ”は、
やはり誰かが故意的に解いたように
ただ、表面上だけの絆になっていた。