天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「女神…」
サーシャは、そんな理香子の気持ちを女としては理解した。
しかし…。
「わたしには、理解できません」
サーシャは軽く、理香子の横顔を睨んだ。
「え」
予想外の答えに、驚く理香子。
サーシャは軽く深呼吸すると、自らの思いを口にした。
「我々ブルーワールドの戦士は、レベル百…つまり、神レベルに近付く為に、日夜血が滲む程の努力をしていました。だけど…そのレベルまで到達した者は、皆無に等しい!神の力があれば、どれ程の人間を救えることか」
「そうね…」
サーシャの熱い言葉に、理香子は睫毛を伏せた。
そして、数秒黙った後に、言葉を続けた。
「ブルーワールドにいる人間ならば、そう願うわね。だけど、あたしは…そんなことを願わなくてもいいような…この世界を創った。だけど…」
理香子は、屋上を囲む金網に近づき、
「この世界に産まれた人間達が、今…崩壊の危機にさらされている。それを救う力が…今のあたしにあるかどうか」
金網の隙間に指を入れて、握り締めた。
「女神…」
「今のあたしは、無力。愛する人を1人…守る力しかない。そして、親友と肩を並べて戦えるくらいしか…」
女神であるはずの理香子の苦悩を垣間見て、サーシャは黙り込んだ。
(…別に、月の女神の力をあてにしていた訳ではない)
サーシャは、理香子から視線を入口の方に向けた。
開いた扉の向こうに、心配そうな中島が立っていた。
(愛する人か…)
サーシャは無意識に、左手の薬指を触った。
今はなくした…指輪がはめてあったところ。
「…」
サーシャは、理香子の背中に頭を下げると、扉の方へ歩き出した。
無言で、中島の横を通り過ぎると、階段を降りていった。
「相原…」
中島は、理香子の背中を見つめながら、決してそばに近付こうとはしなかった。
自分という存在が、彼女を苦しめている部分があることもわかっていた。
しかし、それでも離れることはできなかった。
理香子にとっても。
何故ならば…2人は愛し合っているからだ。
サーシャは、そんな理香子の気持ちを女としては理解した。
しかし…。
「わたしには、理解できません」
サーシャは軽く、理香子の横顔を睨んだ。
「え」
予想外の答えに、驚く理香子。
サーシャは軽く深呼吸すると、自らの思いを口にした。
「我々ブルーワールドの戦士は、レベル百…つまり、神レベルに近付く為に、日夜血が滲む程の努力をしていました。だけど…そのレベルまで到達した者は、皆無に等しい!神の力があれば、どれ程の人間を救えることか」
「そうね…」
サーシャの熱い言葉に、理香子は睫毛を伏せた。
そして、数秒黙った後に、言葉を続けた。
「ブルーワールドにいる人間ならば、そう願うわね。だけど、あたしは…そんなことを願わなくてもいいような…この世界を創った。だけど…」
理香子は、屋上を囲む金網に近づき、
「この世界に産まれた人間達が、今…崩壊の危機にさらされている。それを救う力が…今のあたしにあるかどうか」
金網の隙間に指を入れて、握り締めた。
「女神…」
「今のあたしは、無力。愛する人を1人…守る力しかない。そして、親友と肩を並べて戦えるくらいしか…」
女神であるはずの理香子の苦悩を垣間見て、サーシャは黙り込んだ。
(…別に、月の女神の力をあてにしていた訳ではない)
サーシャは、理香子から視線を入口の方に向けた。
開いた扉の向こうに、心配そうな中島が立っていた。
(愛する人か…)
サーシャは無意識に、左手の薬指を触った。
今はなくした…指輪がはめてあったところ。
「…」
サーシャは、理香子の背中に頭を下げると、扉の方へ歩き出した。
無言で、中島の横を通り過ぎると、階段を降りていった。
「相原…」
中島は、理香子の背中を見つめながら、決してそばに近付こうとはしなかった。
自分という存在が、彼女を苦しめている部分があることもわかっていた。
しかし、それでも離れることはできなかった。
理香子にとっても。
何故ならば…2人は愛し合っているからだ。