天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
ジャスティンの洞察力の鋭さに、僕は目を見開いた。

そして、驚きながらも説明した。

「ライに学んだんですよ。彼のやり方から」

僕は再び、周囲に目をやると、

「あらゆる世界の動きを見ることが、できます。だけど、それは…雲の上から下界を見るようなもので、一つ一つを詳しくは見れません。だから、一人一人に焦点を当てなければいけない。僕の生まれた世界も、空間を隔てても見ることができました。しかし、詳しくはわからない。あの世界で…誰が何を考えているのかまではわかりませんから、知り合いから数珠繋がりで、周囲を探ってました」

「その結果は?」

「まだわかりません。だけど…手掛かりは掴みました。あとは、彼らに近付くだけです」

「どうやって?」

「それこそ…ライから、学んだことが役に立つのですよ」

僕はジャスティンに、すべてを話した。

ジャスティンは少し驚いたようだが…あまり動揺はしなかった。

それよりも、ライがしたことに驚いていた。

「成る程な。これで、天空の騎士団に、団長が3人いた理由がわかったよ」

ジャスティンは嬉しそうに、頷いた後、改めて真剣な表情になると、僕の肩から手を離してから、目を見つめた。

「しかし、君は凄いな。君のこれまでしてくれたことに、この世界の代表として、礼を言うよ。ありがとう」

ジャスティンは、深々と頭を下げた。

「そ、そんなこと!やめて下さい」

と言ったけど、ジャスティンはしばらくは頭を上げなかった。

僕はただただ…照れてしまった。


「それにしても…君は…」

ジャスティンは頭を上げると、

「魔神の中には、君こそが、王に相応しいとの声もあるようだし…。実際、ライを倒したのは君だからね」

「実際的には、僕は彼を倒していません。彼は自ら、命をたったようなものです」

僕は、ジャスティンに背を向けた。

「赤星くん」

そんな僕の背中を、ジャスティンは見つめ、

「君は…」

何かを言おうとしたが、僕は自分の言葉で遮った。
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