天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「しかし、空から落ちてきた人間は!」

「異世界の人間です」

サラは言い放った。

「!」

「彼らを助ける義務は、王であるあなた様にはございません」

「し、しかし!」

「彼らをこの世界に落としているのは、向こうの人間です。人間の問題は、彼らがどうにかするべきです」

「く!」

アルテミアは顔をしかめると、玉座から立ち上がった。

「アルテミア様」

「どけ!サラ」

アルテミアの魔力が上がり、一気にサラを蹴散らそうとした。

「しかし…どこの世界にもお節介はいるものです」

サラは顔を上げると、アルテミアを見た。

「!」

そのサラの表情に、アルテミアははっとした。

その瞬間、脳裏に浮かぶ赤星浩一の姿。

「チッ」

アルテミアは舌打ちすると、玉座に座り、顔を背けた。

「ご理解頂けましたか」

サラは立ち上がった。

「だけど…あいつは、頼りになるようで、頼りにならない時もあるぞ」

「心配ですかな?」

「うん?」

アルテミアは視線を、サラに向けた。

少しにやけたサラに気付き、軽く睨むと、再び顔を背け、

「べ、別に〜心配などしていないが…。あいつは、時々無茶をするからな」

自分の膝に頬杖をついた。

「心配しなくても、彼なら大丈夫でしょう。彼は誰よりも成長し、強くなられた。そして、今も成長しておられます」

「そ、そうかな…」

「はい」

まだ心配そうなアルテミアに、サラは頷いて見せた。





「…」

所変わって、実世界の授業中。

教室の真ん中に座る太陽の後ろに、仁王立ちの姿で控える純一郎。真後ろの生徒はまったく黒板が見えなかった。

しかし、教壇の前に立つ教師も、純一郎には注意できなかった。

いや…純一郎というよりも、開八神家を恐れていたからだ。

大月学園に転校するにあたり、開八神家は多額の寄付をし、さらに数日前の半月ソルジャーの事件で、壊れた学園の修繕費も負担していたからだ。

「ふぅ〜」

太陽は、緊張感が走る教室内で息を吐いた。
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