天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
(スナイパーか!)

いつも俺に監視の目を光らせているボディーガードだが…姿を見たことがない。

「だけど!」

俺は、唖然としている高坂の手を取ると、体育館裏を駆け出した。

スナイパーが隠れていると思われる学園外のマンションの屋上に向けて、乙女ピンクはバズーカをぶっ放った。

八階建てのマンションの屋上部分が、ふっ飛んだ。

「名も知らぬ女子よ。どこに逃げる?」

高坂は、俺に引かれながら、空を見上げた。

「月が黒い?」

「恐らく、彼女達はあの月の光に操られている!何とかしなければ」

体育館裏をぐるっと周り、グラウンドに出ると、屋上から飛び降りてくる2つ影が目に入った。

「乙女ブラックか!」

高坂は、目を細めた。




「チッ」

落下しながらも、校舎の壁を蹴り、威力を拡散させたサーシャは、着地と同時に後方にジャンプした。

「速い!」

そんなサーシャの動きよりも、乙女ブラックの方が速い。

「しかしな!」

サーシャは右腕を振ると、ドラゴンキラーを装着した。

「単純だ」

振り向き様の横凪の斬撃が、乙女ブラックを切り裂いたと思った刹那、乙女ブラックは頭上にいた。

「何!?」

サーシャが斬ったのは、残像だった。

「ブラックキック」

サーシャの頭上から、乙女ブラックが落下してきた。



「月影リバースの能力は、三倍は上がっている」

瓶を握り締めると、桂も校舎から出た。

「お前達は、太陽の器を手に入れろ」

「は!」

手長男と半月ソルジャーは頭を下げると、体育館の方へ走り出した。




「…」

無言で乙女レッドと対峙するフレアは、体育館の屋根の上からちらりとグラウンドを見た。

何とかブラックの蹴りを避けたサーシャと、乙女ソルジャー達に囲まれた太陽と高坂の姿が、瞳に映った。

フレアは軽く目を瞑ると、グラウンドに向かって飛び降りようとした。

しかし、その動きをよんだ乙女レッドのパンチが進路をふさいだ。

フレアは後方に飛ぶと、屋根の中央まで移動した。
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