天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
拳を突きだした形の乙女レッドの全身が、いきなり燃え上がった。

「フン」

乙女レッドが気合いを入れると、炎が消えた。

そして、にやりと笑うと、乙女ケースを剣へと変えた。

炎に対して耐性のある乙女レッドは、ある意味…フレアに取って大敵だった。

「うおおおっ!」

雄叫びを上げると、乙女レッドは突きの体勢で突っ込んで来た。

「…」

冷静に対処しょうと、構えたフレアは、真後ろに殺気を感じた。

慌てて避けると、フレアがいた空間をビームが通り過ぎた。

「ウフフフ…」

含み笑いをもらしながら、乙女グリーンが屋上に現れた。

「!?」

グリーンの笑い声を聞いた瞬間、フレアは目を見開いた。

「うおおおっ!男なんてええ!」

怒りを増す度に、パワーが増加する乙女レッドは、屋根を凹ましながら再び、フレアに襲いかかる。

フレアの目が光り、乙女レッドの全身が燃え上がるが、すぐに吸収された。

「フン。相変わらずの甘さね」

グリーンは鼻を鳴らすと、少し呆れながらも、口許を緩めた。

「でも…らしいわね」

「うおおおっ!」

剣を振り上げた乙女レッドの全身を火柱が包んだ。

その次の瞬間には、乙女レッドは消滅していた。

装着者を失った乙女ケースは、屋上を転がりながら、下へと落ちた。

その状況になっても、フレアは驚くことなく、乙女グリーンを見つめていた。

「…」

それから、ゆっくりと頭を下げると、背面跳びのように後ろ向きで、地面に向けてジャンプした。

その様子を見つめながら、乙女グリーンは笑った。

「本当なら…貴女にもできるのにね」

乙女グリーンは、眼鏡を外した。

変身が解け…屋根の上に佇むのは…リンネであった。

「相変わらず、何もかも…あなたらしいわ」

リンネは苦笑した。




「どこか、安全な場所に!」

「それは、俺の台詞だ」

グラウンドに出たのが、まずかった。

俺と高坂は、乙女ソルジャー達に囲まれてしまった。

「おれ…じゃない。私は大丈夫です。あなたをどこか安全な場所に!」

俺は、高坂を庇おうとしたが…高坂は、俺を庇おうとしていた。





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