天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
(お前のような中途半端な力では、何もできない)

(何だと!)

俺が、反論しょうとした時、再び笑い声が聞こえた。

(しかし、もがくがいい。それが、お前の言う…前に進むことなのだろう?)

(ライ!)

(必要ならば、我の力を使うがよい。但し…今のお前に使えるかな?ハハハハ)

ライの高笑いが遠ざかっていくと、視界に光が戻ってきた。

(!?)

俺はふらつくと、思わず廊下の壁に手をついた。

ほんの数秒だが…目を見開きながら動きを止めた後、倒れそうになった俺を、人が見たらおかしく思っただろう。

だけど、廊下の柱に手をついた俺の後ろを、携帯片手の蒔絵が通り過ぎたが…まったく無視された。

「成る程な…。気をつけろということか」

俺は下唇を噛み締めた。

どうやら、先程…中島が真っ二つにならなかったのは、俺が制御できたのではなく…ライのおかげのようだった。

(しかし…先程の空を割る程の力を…示してしまった。これから、きつくなるな)

それは元々、覚悟していたことだった。




時計台の下の部屋にいた真田と開八神茉莉は、戦いを結末までずって観覧していた。

「今の武器…。この世界のものではありませんな。威力が桁違いです。それに…」

真田は人差し指で眼鏡をあげると、

「あのような武器を、どこで手に入れたのか?それに、あの身体能力」

グラウンドに倒れている中島を見下ろした。

「流石は〜太陽様ですわ。わたくしの伴侶に相応しいお方!わたくしの体にも、なじんでいらっしゃるご様子」

茉莉は、嬉しそうに微笑んだ。

その様子を見て、真田は気付いた。

「お嬢様。あまり…驚かれていないご様子ですが…」

「ウフフ…」

茉莉は胸に手を当てると、

「この体に入ってから、わかりますの。あの方の特別さを。やはり、あの方は…この世界のアダムになりますわ」

目を閉じ…にやりと笑った。
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