天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「砂…」

俺の後ろに立つ高坂は、目を見張った。

「あはははは!」

言葉をなくした3人に向かって、レダは笑った。

「そう!砂よ」

笑いながら、後ろに下がる間に、傷口は塞がった。

「あたしは、この女と同じ砂の世界から来た!」

レダは距離を取ると、足を止めた。

「砂の世界?」

高坂は知らなかった。

「未練や恨みを持った死人が、転生できずに…永遠に、生前の姿で暮らす世界よ」

サーシャは、レダを睨みながら説明した。

「!」

高坂は、サーシャの元に戻った腕と足に気付いた。

しかし、気にしている場合ではない。

高坂も視線を、レダに戻した。

「先程…あなたは、奴等の味方ではないと答えましたね」

シャイニングソードを下に下ろすと、俺はレダを見据え、

「だったら、なぜ彼らを逃がした?いや、それよりも、どうしてあんな歌を」

疑問をぶつけた。

「それは…」

レダは俺を見てから、視線を下に向けた。

そこには、オウパーツが転がっていた。

「わからない」

「わからない?」

俺は、眉を寄せた。

「なぜなら…あたしは、レダではないから…」

そう言うと、レダはオウパーツに向かって歩き出した。

「!」

レダの告白に、3人は言葉を失った。

レダはふらつきながら、オウパーツのそばに来ると、腰を下ろした。

「あたしは死に…砂の世界に落ちた。そして、奴等の計画に乗った」

「計画?」

俺は、しゃがんだレダの背中を見下ろした。

「奴等は、この世界の人間をブルーワールドに落とすだけではなく…砂と同化したあたし達の新たな肉体を、落とした人間からプレゼントすることを約束した」

伸ばしたレダの指が、オウパーツに近付いていく。

「しかし、あたしの肉体は残っていた。このオウパーツと共に…。だから、この世界に来たら…奴等を出し抜いて、肉体を取り戻すはずだった!なのに!」

そして、指先が触れた瞬間…レダの体は消えていく。

「あたしの体はなかった…」

レダは睫毛を伏せた。
< 162 / 295 >

この作品をシェア

pagetop