天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「開八神さん」
俺は敢えて、名字で呼んだ。
その瞬間、不満げに口を尖らせた茉莉を無視して、俺は訊いた。
「どうして、体を入れ換えた?」
「そんなことよりも、先程の女は誰ですか?」
俺の言葉を遮ると、茉莉は微笑みかけた。
しかし、目は笑っていない。
「?」
思わず、茉莉の瞳の奥を覗いた俺は、絶句した。
そのさらに奥に、何かとてもない力を感じたからだ。
「単なるお友達でしたら、今回は許します。だけど、わたしくし以外の女と話すことは承知致しかねます」
「な!」
一瞬、言葉を失ったが、気を取り直して、俺は言った。
「お、女にされたのに!女と喋るなは無理があるだろうが!男とだけ話せというのか!この学園で!」
思わず力が入ってしまった。
そんな俺を、目を見開いて見つめた茉莉は、開いた手を口に当て、
「そう言われれば、そうですね」
驚いた顔を作ってから、改めて言った。
「ですが、できる限り女と話すことは…」
強い表情で、真っ直ぐ俺を見つめながら近付いてくると突然、俺の手を取った。
「!」
その行動に、今度は俺が、驚いた。
「傷だらけの手…」
茉莉は、俺の手の甲を見つめ、呟くように言った。
「ご、ごめん」
俺は、素直に謝った。
よく考えれば、この体は茉莉のものである。
戦い続きで、いつのまにか傷だらけになっていた。
お肌のケアもしていない。
髪や身だしなみは、御付きの人がやってくれているが…。
痛いところをつかれて、俺は何も言えなくなってしまった。
しかし、そんな俺に、茉莉は微笑んだ。
「よろしいのですよ。わたしくしの体が、太陽様の為に傷付いても…。一向に、構いません」
その言葉に、俺はさらに何も言えなくなった。
「なぜなら…わたしくしと太陽様は一心同体。この体も、太陽様の為に傷付いたのならば、本望ですわ」
傷付いた手を見ながら、うっとりとした表情を浮かべる茉莉に、俺はぞっとした。
俺は敢えて、名字で呼んだ。
その瞬間、不満げに口を尖らせた茉莉を無視して、俺は訊いた。
「どうして、体を入れ換えた?」
「そんなことよりも、先程の女は誰ですか?」
俺の言葉を遮ると、茉莉は微笑みかけた。
しかし、目は笑っていない。
「?」
思わず、茉莉の瞳の奥を覗いた俺は、絶句した。
そのさらに奥に、何かとてもない力を感じたからだ。
「単なるお友達でしたら、今回は許します。だけど、わたしくし以外の女と話すことは承知致しかねます」
「な!」
一瞬、言葉を失ったが、気を取り直して、俺は言った。
「お、女にされたのに!女と喋るなは無理があるだろうが!男とだけ話せというのか!この学園で!」
思わず力が入ってしまった。
そんな俺を、目を見開いて見つめた茉莉は、開いた手を口に当て、
「そう言われれば、そうですね」
驚いた顔を作ってから、改めて言った。
「ですが、できる限り女と話すことは…」
強い表情で、真っ直ぐ俺を見つめながら近付いてくると突然、俺の手を取った。
「!」
その行動に、今度は俺が、驚いた。
「傷だらけの手…」
茉莉は、俺の手の甲を見つめ、呟くように言った。
「ご、ごめん」
俺は、素直に謝った。
よく考えれば、この体は茉莉のものである。
戦い続きで、いつのまにか傷だらけになっていた。
お肌のケアもしていない。
髪や身だしなみは、御付きの人がやってくれているが…。
痛いところをつかれて、俺は何も言えなくなってしまった。
しかし、そんな俺に、茉莉は微笑んだ。
「よろしいのですよ。わたしくしの体が、太陽様の為に傷付いても…。一向に、構いません」
その言葉に、俺はさらに何も言えなくなった。
「なぜなら…わたしくしと太陽様は一心同体。この体も、太陽様の為に傷付いたのならば、本望ですわ」
傷付いた手を見ながら、うっとりとした表情を浮かべる茉莉に、俺はぞっとした。