天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
君が僕を愛するならば、すべてを捧げよう。
君が金を欲するならば、すべてが終わるまで…見続けよう。
幸せよりも、君の破滅を望みながら…。
幸せの価値を、お金で物を買うことと刷り込まれた…東洋の島国は、本音と建前を使い分けながら…今も、進んでいる。
国の予算がなくても、金を使うことだけを考えて…。
「人の価値は、何かしらね」
人里離れた山道を歩くリンネは、後ろに控える刈谷に訊いた。
「…」
刈谷は即答せず、少し考えた後に、口を開いた。
「人は脆い存在です。故に、高貴なる心かと。貧弱な肉体、純粋な戦闘能力なら下級の魔物にも劣ります。それでも、挑む人間に、我は敬意を感じます」
「そうね。あたしもそう思うわ。だけど…人間はそう思っていない。金こそが価値よ」
リンネは足を止めると、周りに広がる自然を眺め、
「だけど…金に頼った人間が、強くなることはない」
それから…足下を見た。
雑草が、生い茂っていた。
リンネは徐にしゃがむと、雑草に手を伸ばした。
昔のように、触れるだけで燃え尽きることはない。
リンネは微笑んだ。
「この世界の人間に…この草ほどの強さもないわ」
「御意」
刈谷は、その場で跪いた。
そんな自然がほとんどない市街地。
しかし、アスファルトの片隅にも、雑草は生えている。
あまり気付かれることなく、ただ生きている。
そんな雑草達を、踏みつけて歩く少女の耳元につけたイヤホンから流れる…微かな音。
「うーん」
玉座に座りながら、週刊誌をめくるアルテミアは、あるページで手を止め、食い入るように紙面を見ていた。
「ア、アルテミア様!魔王レイが、幽閉されていた大陸での我が軍の侵攻状態ですが…」
そばで、報告する蛙男の話を無視して、アルテミアはずっと雑誌を読んでいた。
蛙男は肩を落としながらも、機械のように事務的に報告を続けた。
君が金を欲するならば、すべてが終わるまで…見続けよう。
幸せよりも、君の破滅を望みながら…。
幸せの価値を、お金で物を買うことと刷り込まれた…東洋の島国は、本音と建前を使い分けながら…今も、進んでいる。
国の予算がなくても、金を使うことだけを考えて…。
「人の価値は、何かしらね」
人里離れた山道を歩くリンネは、後ろに控える刈谷に訊いた。
「…」
刈谷は即答せず、少し考えた後に、口を開いた。
「人は脆い存在です。故に、高貴なる心かと。貧弱な肉体、純粋な戦闘能力なら下級の魔物にも劣ります。それでも、挑む人間に、我は敬意を感じます」
「そうね。あたしもそう思うわ。だけど…人間はそう思っていない。金こそが価値よ」
リンネは足を止めると、周りに広がる自然を眺め、
「だけど…金に頼った人間が、強くなることはない」
それから…足下を見た。
雑草が、生い茂っていた。
リンネは徐にしゃがむと、雑草に手を伸ばした。
昔のように、触れるだけで燃え尽きることはない。
リンネは微笑んだ。
「この世界の人間に…この草ほどの強さもないわ」
「御意」
刈谷は、その場で跪いた。
そんな自然がほとんどない市街地。
しかし、アスファルトの片隅にも、雑草は生えている。
あまり気付かれることなく、ただ生きている。
そんな雑草達を、踏みつけて歩く少女の耳元につけたイヤホンから流れる…微かな音。
「うーん」
玉座に座りながら、週刊誌をめくるアルテミアは、あるページで手を止め、食い入るように紙面を見ていた。
「ア、アルテミア様!魔王レイが、幽閉されていた大陸での我が軍の侵攻状態ですが…」
そばで、報告する蛙男の話を無視して、アルテミアはずっと雑誌を読んでいた。
蛙男は肩を落としながらも、機械のように事務的に報告を続けた。