天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「僕の仲間になれ」

九鬼に向かって、手を伸ばした。

「何!」

「君は、人間じゃないね。その体…その力を解き放ち、共に人間を滅ぼさないか?そして、今度は間違いを起こさない新たな人を…」
「どこかで、聞いた考えだな」

九鬼は両手を地面につけると、膝が震えながらも、立ち上がった。

そして、差し伸べられた手を払った。

「あたしは、人間だ!人間を滅ぼすなんて計画に乗るはずがない!それに、人間は間違いを起こすが、悔い改めることもできる!」

九鬼の言葉を聞き、光一はせせ笑った。

「ここまで、地球を汚しておいて、その言い方!実に人間らしいな」

「く!」

九鬼は顔をしかめると、後ろに飛んだ。

まったく予測できなかったが、光一の蹴りを避けることができた。

筋肉の動きではなく、勘であった。

しかし、前髪は切れていた。

(これでも、完全には無理なのか!?)

九鬼は心の中で、絶句した。

「よくわかったよ。君は人間だ。汚らわしい人間だ。だから、君を殺し!その体だけ頂こうか」

赤星の目が、赤く輝いた。

九鬼は顔を逸らすと、さらに後ろに飛びながら叫んだ。

「装着!」

黒い光が、九鬼を包んだ。

「フン!」

光一は鼻を鳴らすと、一瞬で姿を消した。

九鬼の姿も消えた。


「な!?」

出入口から2人の様子を見ていたサーシャは、絶句した。

「速い!」

目にも止まらぬ速さで、攻防を繰り返す2人。

いや、違った。

最初は、乙女ブラックとなった九鬼の攻撃をすべて受けていたが、すぐに立場は逆転した。

笑いながら、攻撃を繰り出す光一に、防戦一方になった九鬼。

「終わりだ」

光一の肘が、九鬼に突き刺さり、くの字に曲げると、蹴りを九鬼の腹に叩き込んだ。

「うぐぅ!」

上空に舞い上がる九鬼の体に向けて、光一は手のひらを向けた。

赤い火の玉が、光一の手の中に発生する。

「駄目だ!」

サーシャは、ドラコンキラーを装着すると、飛び出そうとした。
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