天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「さて…」

骸骨でできた島で、月を見上げながら、瞑想してしている俺の元に、フレアは飛んできた。

ここに連れて来られてから、一時間も立っていなかった。

「フレア」

目の前に着地したフレアに、俺は微笑んだ。

「…」

フレアは無言で、俺を数秒見つめてから、口を開いた。

「この世界を守りたいのですか?」

その質問に、俺は驚いたけど、即答した。

「勿論だ」

この言葉に、フレアは笑顔になった。

「だけど…今の俺は、非力だ。ここまでは、何とかやってこれたが、神レベルの相手になると、どうなるか」

俺は、自らの手を見た。透き通る程の白い肌が、傷だらけである。

「あたしは…」

フレアは、俺の手を見つめ、

「あなたの世界を守りたかった。でも…魔物であるあたしが、この世界に馴染むのは難しい」

少し目を伏せた。

「まあ〜何とかするよ。ティアナさんのように、剣一つで戦い抜いた人もいるしね」

やはり、昔から知っているからか…俺は、素直に話していた。

「あたしの一部は、あなたの血となり…そして、今は、チェンジ・ザ・ハートの中に宿っています。そして、残りの魂はここに!」

フレアは、自らの胸に当てた。

すると、その部分から、炎が発生した。

「フレア?」

驚く俺に、フレアは微笑んだ。

「あたしのすべてを捧げましょう。魔力の使えないあなたの為に」

「な、何をする気だ!?」

「…」

フレアはただ、微笑んだ。

次の瞬間、フレアの体は燃え尽きた。

「何!?」

と同時に、二つの羽が俺の背中に装備された。

(あなたの羽となり…あなたの武器となります)

フレアの声が、俺の頭に響いた。

「フレア!?」

(あたしの意識は…消えます。だけど…チェンジ・ザ・ハートにも、この羽にも…あたしの思いは残ります)

フレアは意識を消す寸前に、最後の願いを込めた。

それを、俺に告げなかった。

(永久に、あなたのそばに)
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