天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「考えろ」

俺は周りを見ずに、この状況を打開する案を考えていた。

「な、何なのよ!騎士団長って!」

さやかは、ギラが去った空を見上げた。

「クッ!」

九鬼は気持ちを切り替えて、アルテミア達に構えた。

「少年?」

高坂は、考え込む茉莉を見つめていた。

「くそ!」

緑も構えた。

「すべての力を使えば…1人くらいは!」

サーシャの言葉に、ロバートが反論した。

「やめておけ。1人倒したところで、状況は変わらない」

風が激しさを増し、立っているのも、やっとの状態になったとき、気を失っていた美奈子が目を覚ました。

「うう…」

まだ定まらない焦点で、倒れながらアルテミアに銃口を向けた。




「この世界では、魔力を使えない!カードの魔力では、5人のアルテミアを……!?」

と、改めて状況を確認した俺は、はっとなった。

「そうか!」

ブラックカードを指先に掴むと、俺は叫んだ。

「全ポイント還元!そして!」

俺はカードの先を、5人のアルテミアに向けた。

「転送!」




「え!」

次の瞬間、風が止み…雷鳴が消えた。

静寂が戻った…夜のグラウンドに、サーシャ達だけが立ち尽くしていた。

「いない…」

九鬼は周囲を見回したが、姿形もなく…気配も消えていた。

「どこかにテレポートさせたな」

ロバートの声に、サーシャはドラゴンキラーを外しながら、訊いた。

「どこへ?」

「恐らく…。勝てる場所だよ」

ロバートの言葉に、サーシャは空を見上げた。






「さすが…ブラックカード。ポイントの心配はいらなかったが…まさか、時空間の壁も越えられるとはな」

俺はにやりと笑うと、一面の砂景色に目をやった。

足下が埋まる程に砂は溜まり、空には無数の糸のようなものが、複雑に絡み合い…縦横無尽に走っていた。

「!?」

俺の周りに、5人のアルテミアが降り立った。

「さあ〜!初めようか!」

俺はブラックカードをしまうと、5人を見ることなく…ゆっくりと構えた。

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