天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「必ず救う!」
屋上で、誓いを新たにしている俺の耳に、微かな歌声が飛び込んできた。
「?」
振り返ると、誰もいないが、出入口の後ろから声が聞こえてきた。
俺は恐る恐る近づき、覗いて見た。
目を瞑り、真剣な表情で歌う少女がいた。
(この子は?)
名前を思いだそうとしていたら突然、少女は目を開けた。
「え!あっ〜え…きゃあ!」
口ごもった後、少女は悲鳴を上げながら、俺の横を通り過ぎた。
どうやら…先程のアルテミア達の襲撃の時もずっと、歌っていたようだ。
(周りの音が、聞こえなくなる程の集中力か)
俺は少し、感心してしまった。
しかし、当の本人は…顔から、火が噴き出しそうになる程、恥ずかしさで真っ赤になっていた。
少女の名は、香坂姫百合。
校内放送を流した後、校舎を出ることは危険と判断した彼女は、屋上から下の様子を伺いに来たのだ。
しかし、それが裏目に出た。
麒麟と化した中島の雷撃を、まともに見た姫百合は、屋上の階段裏に隠れ、恐怖を拭う為に、小さな声で歌を歌っていたのだ。
その集中力で、恐怖を消すことはできたが、戦いの終息を感じることができなかったのだ。
「な、なんたる失態!」
真っ赤になりながら、階段を駆け下りると、二階フロアの左側の廊下から香坂真琴が、姿を見せた。
「姫!一体、何が起こっているんだ?」
相変わらず、出遅れる姉の質問に、 姫百合はこたえることなく、さらに下に下りていった。
「姫!姫百合!」
姉の言葉では止まらない。
一階についた時、中庭から廊下に入ってきた九鬼の姿が、姫百合の目に飛び込んできた。
「生徒会長!」
姫百合の叫びに、疲れ果てていた九鬼は、笑顔を向けた。
「無事でしたか?」
「会長!」
姫百合は、九鬼の胸に飛び込んだ。
九鬼は、姫百合を抱き締めると、
「何とか…終わりました。帰りましょう」
微笑み、帰宅を促した。
「はい」
姫百合は、そんな九鬼の言葉にただ頷いた。
屋上で、誓いを新たにしている俺の耳に、微かな歌声が飛び込んできた。
「?」
振り返ると、誰もいないが、出入口の後ろから声が聞こえてきた。
俺は恐る恐る近づき、覗いて見た。
目を瞑り、真剣な表情で歌う少女がいた。
(この子は?)
名前を思いだそうとしていたら突然、少女は目を開けた。
「え!あっ〜え…きゃあ!」
口ごもった後、少女は悲鳴を上げながら、俺の横を通り過ぎた。
どうやら…先程のアルテミア達の襲撃の時もずっと、歌っていたようだ。
(周りの音が、聞こえなくなる程の集中力か)
俺は少し、感心してしまった。
しかし、当の本人は…顔から、火が噴き出しそうになる程、恥ずかしさで真っ赤になっていた。
少女の名は、香坂姫百合。
校内放送を流した後、校舎を出ることは危険と判断した彼女は、屋上から下の様子を伺いに来たのだ。
しかし、それが裏目に出た。
麒麟と化した中島の雷撃を、まともに見た姫百合は、屋上の階段裏に隠れ、恐怖を拭う為に、小さな声で歌を歌っていたのだ。
その集中力で、恐怖を消すことはできたが、戦いの終息を感じることができなかったのだ。
「な、なんたる失態!」
真っ赤になりながら、階段を駆け下りると、二階フロアの左側の廊下から香坂真琴が、姿を見せた。
「姫!一体、何が起こっているんだ?」
相変わらず、出遅れる姉の質問に、 姫百合はこたえることなく、さらに下に下りていった。
「姫!姫百合!」
姉の言葉では止まらない。
一階についた時、中庭から廊下に入ってきた九鬼の姿が、姫百合の目に飛び込んできた。
「生徒会長!」
姫百合の叫びに、疲れ果てていた九鬼は、笑顔を向けた。
「無事でしたか?」
「会長!」
姫百合は、九鬼の胸に飛び込んだ。
九鬼は、姫百合を抱き締めると、
「何とか…終わりました。帰りましょう」
微笑み、帰宅を促した。
「はい」
姫百合は、そんな九鬼の言葉にただ頷いた。