天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「…」

数秒、考えた後…高坂は口を開いた。

「それでも、諦めたら…人間は終わりだ。必ず、道は広がるはずだ。まずは、彼女に接近しょう。開八神茉莉…。俺は、彼女の方に…赤星らしさを感じるよ」

「はあ〜?どういう意味ですか?」

緑は思い切り首を傾げながら、高坂の方を見た。

「ところで…」

高坂は緑にこたえずに、舞の方を向き、尋ねた。

「輝は、どうした?」

「あ!」

舞は声を上げると、パソコンの方に椅子を回転させた。

「忘れてた」





その頃、未だに西館の教室内で、机の下で待機していた輝。

「ま、まだかな…」

戦いが終わったのに、未だ…恐怖と緊張にとらわれていた。






「いい歌だった」

戦いの疲れを癒すような姫百合の歌声を思い出しながら、俺は屋上から階段を下りていたが…途中で、足を止めることになってしまった。

「フン」

何故ならば、下のフロアに、眼鏡を指で上げ、不機嫌そうな真田がいたからだ。

「どうして、ここに?」

「フン」

もう一度、鼻を鳴らすと、真田はゆっくりと俺の方を見上げて訊いた。

「貴様の武器。そして、女神達をどこかへと転送させた…あのカード。恐らくは、異世界の兵器だな?」

「!」

俺は、絶句した。

「お前を、ろくに調べもせずに拘束し、精神を交換させたのは、お嬢様の命。一目惚れされたお嬢様が、即座に指示されたからだ。そして、我々もそれでよかった」

「何が言いたい?」

俺は、真田の言葉に眉を寄せた。

「お前の素性など、どうでもよかったのだよ」

真田は、フッと笑った。

「どうでも、よかった?」

「そうだ」

真田は頷いた後、俺を睨み、

「しかしだ!貴様の武器を使い、お嬢様に刃向かうならば!容赦はせぬ」

鋭い殺気を放った。

「な」

その鋭さは、思わず俺に構えたさせた程だった。

「フッ」

そんな俺を見て、真田は口許を緩めると、ゆっくりと背を向けた。
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