天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「力か…」

宮殿のような家に帰った俺は、ベットに横になりながら、ブラックカードを見つめていた。

「いいアイデアと思ったんだけどな…」

さっきのように、砂の世界にいくのは、できない。

「だったら…ブルーワールドで」

とも思ったが、世界を越える時に使うポイントが申し訳なかった。

俺が、貯めたポイントならまだしも…ブルーワールドの人々の税金を勝手に使うようなものである。

(それに、魔力なしでも戦うと決めたはずだ)

俺はカードを握り締めると、枕元に置いた。

(うん?)

なぜか、妙な光を窓から感じた。

俺は上半身を起こすと、窓の方を見た。

「明るい?」

いつも真っ暗な風景しかうつさない窓は常に、カーテンで閉ざされていた。

そのカーテンが、外から明かりで透けていた。

「何だ?」

俺は窓に近付くと、カーテンを開いた。

少し離れた場所にある…巨大な屋敷が輝いていた。

「あんなところに、屋敷が?」

朝は起こされると、すぐに猫沢に拉致される為に、窓から外を見たことがなかった。

「世の中…金持ちが多いのか?」

自分が生まれた家を思い出して、俺はため息をついた。

ブルーワールドにいってからは、城とかを見たことがあったけど、実世界ではいたって庶民的な家しか、周りになかった。

明かりが消えれば、闇に溶け込む程の色使いの屋敷が、何故か今日だけ…輝いていた。

「うん?」

魔力で探ることのできない俺であるが、嫌な雰囲気をその屋敷から感じ取っていた。

「闇の…祭宴」

何故か…そんな言葉が、口から出た。

「窓は開けるなと言ったはずだが」

いつのまにか真後ろに、猫沢が立っていた。

「今日は、外が明るかったから…少し気になってね」

俺は後ろを見ずに、答えた。

別に、猫沢がいても驚くことはない。

「フン」

猫沢は鼻を鳴らすと、俺の背中に目を細めた。

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