天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「い!」
その人間離れした浅田の力に、上司は目を丸くした。
「…」
浅田は黙々と仕事を続けながら、頭の中ではラジオから聞こえてくる歌声に、耳を傾けていた。
(あり得ない…。世界が崩壊するなんて)
浅田の顔は、いつのまにか強張っていた。
「キイキイ!」
戦闘員が暴れ回る学園内で、ただ1人逃げることもなく携帯を弄っていた花町蒔絵は、メールを打つ手を止めた。
少し携帯が震え、着信を伝えた。
着信音は、レダの曲だった。
「はい」
蒔絵は携帯に出ると、
「今は学校。別に変わったことはないけど」
普通に会話を始めた。
「キイ!キイ!」
戦闘員が、周りで暴れているのにだ。
「そう」
蒔絵に電話をかけてきたのは、女だった。
「それは、つまらないわね」
女は、残念そうにこたえると、携帯を切った。
その眼下には、大月学園があった。
学園の遥か上空に浮かぶ女には、そこにいるすべてのものの存在を理解していた。
「本当…残念だわ」
女は携帯をしまうと、マッチの火のように一瞬で空から消えた。
「人はね」
白人の男は、新しい煙草に火を点けた。
「火を使い、この世界に頂点に立ったその時から繁栄が始まったが…崩壊も始まっていたのさ」
白人の男は、煙を吐き出し、
「考えてもみろよ。人間ごときに、火を扱えるはずがない。いずれ…己も灰になるのさ」
火の点いた煙草を投げ捨てた。
「それは困りますね」
隣にいる男は笑うと、
「燃え尽きるだけなんて…今までの人の罪を精算するには軽る過ぎますよ。もっと絶望してからでないと」
周りの町並みを目だけで見回した。
「せめて…この世界が崩れて更地にならないと」
その笑いは、いつのまにか冷笑に変わっていた。
その人間離れした浅田の力に、上司は目を丸くした。
「…」
浅田は黙々と仕事を続けながら、頭の中ではラジオから聞こえてくる歌声に、耳を傾けていた。
(あり得ない…。世界が崩壊するなんて)
浅田の顔は、いつのまにか強張っていた。
「キイキイ!」
戦闘員が暴れ回る学園内で、ただ1人逃げることもなく携帯を弄っていた花町蒔絵は、メールを打つ手を止めた。
少し携帯が震え、着信を伝えた。
着信音は、レダの曲だった。
「はい」
蒔絵は携帯に出ると、
「今は学校。別に変わったことはないけど」
普通に会話を始めた。
「キイ!キイ!」
戦闘員が、周りで暴れているのにだ。
「そう」
蒔絵に電話をかけてきたのは、女だった。
「それは、つまらないわね」
女は、残念そうにこたえると、携帯を切った。
その眼下には、大月学園があった。
学園の遥か上空に浮かぶ女には、そこにいるすべてのものの存在を理解していた。
「本当…残念だわ」
女は携帯をしまうと、マッチの火のように一瞬で空から消えた。
「人はね」
白人の男は、新しい煙草に火を点けた。
「火を使い、この世界に頂点に立ったその時から繁栄が始まったが…崩壊も始まっていたのさ」
白人の男は、煙を吐き出し、
「考えてもみろよ。人間ごときに、火を扱えるはずがない。いずれ…己も灰になるのさ」
火の点いた煙草を投げ捨てた。
「それは困りますね」
隣にいる男は笑うと、
「燃え尽きるだけなんて…今までの人の罪を精算するには軽る過ぎますよ。もっと絶望してからでないと」
周りの町並みを目だけで見回した。
「せめて…この世界が崩れて更地にならないと」
その笑いは、いつのまにか冷笑に変わっていた。