天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「そうですね」
カウンターの端に座っていた浅田仁志は、コーヒーカップの中身を見つめながら、静かに頷いた。
「だが…そんな目覚めたばかりの者を殺し回っている連中がいるようだ」
仁志の前に来たマスターの目に、怒りが浮かぶ。
藤崎が彼らを殺しているのは、意図的ではない。
しかし、それがわかることはなかった。
「やつらでしょうか?この世界を破壊しょうとしているもの達の」
仁志の言葉に、マスターは首を横に振った。
「違うだろうな。私が知っている範囲では、やつらの目的は…この世界の崩壊。ならば、目覚めさせた方が、人々の混乱を産むはずだ」
「だったら、誰が?」
仁志は、首を捻った。
「それは…」
マスターが考え込もうとした時、店の扉が開き、新たな迷い人が入ってきた。
「いらっしゃいませ」
何故店に入ったのか、自分でもわからずに、ただキョロキョロするお客に、マスターは笑顔を向けた。
「やあ〜。久しぶりだね。君から連絡をくれるなんて、嬉しいよ」
笑顔を浮かべる藤崎を、人里離れた山奥に呼び出したのは…俺だった。
「何人、殺したんだい?こんなところに連れてくるなんて…秘密の倉庫とかあるのかい?」
期待に胸を膨らませている藤崎には、悪いが…俺は、まったく違うことを考えていた。
(こいつの体から、漂うのは…火薬と血の匂いだ)
「最近の高校生は進んでるね!何人もやっちゃうなんて」
藤崎は、俺の方に鼻を向け、風が運んでいる匂いを嗅いだ。
「確かに…俺は、人を殺したこともある。数多くの人以外の存在も殺した!しかし、それは…この世界ではない。なのに、気付くとは…あんたは一体何者だ?」
俺の質問に、藤崎はきょとんとなり、まじまじと顔を見つめた後、
「何を言っているんだ?こんなに血の匂いを染み込ませているのに」
ゆっくりと俺の体を指差した。
「え?」
俺は驚いた。
やつが感じ取ったのは、俺の魂ではない。
この肉体に染みついた匂い。
そして、この体は…開八神茉莉のものであった。
カウンターの端に座っていた浅田仁志は、コーヒーカップの中身を見つめながら、静かに頷いた。
「だが…そんな目覚めたばかりの者を殺し回っている連中がいるようだ」
仁志の前に来たマスターの目に、怒りが浮かぶ。
藤崎が彼らを殺しているのは、意図的ではない。
しかし、それがわかることはなかった。
「やつらでしょうか?この世界を破壊しょうとしているもの達の」
仁志の言葉に、マスターは首を横に振った。
「違うだろうな。私が知っている範囲では、やつらの目的は…この世界の崩壊。ならば、目覚めさせた方が、人々の混乱を産むはずだ」
「だったら、誰が?」
仁志は、首を捻った。
「それは…」
マスターが考え込もうとした時、店の扉が開き、新たな迷い人が入ってきた。
「いらっしゃいませ」
何故店に入ったのか、自分でもわからずに、ただキョロキョロするお客に、マスターは笑顔を向けた。
「やあ〜。久しぶりだね。君から連絡をくれるなんて、嬉しいよ」
笑顔を浮かべる藤崎を、人里離れた山奥に呼び出したのは…俺だった。
「何人、殺したんだい?こんなところに連れてくるなんて…秘密の倉庫とかあるのかい?」
期待に胸を膨らませている藤崎には、悪いが…俺は、まったく違うことを考えていた。
(こいつの体から、漂うのは…火薬と血の匂いだ)
「最近の高校生は進んでるね!何人もやっちゃうなんて」
藤崎は、俺の方に鼻を向け、風が運んでいる匂いを嗅いだ。
「確かに…俺は、人を殺したこともある。数多くの人以外の存在も殺した!しかし、それは…この世界ではない。なのに、気付くとは…あんたは一体何者だ?」
俺の質問に、藤崎はきょとんとなり、まじまじと顔を見つめた後、
「何を言っているんだ?こんなに血の匂いを染み込ませているのに」
ゆっくりと俺の体を指差した。
「え?」
俺は驚いた。
やつが感じ取ったのは、俺の魂ではない。
この肉体に染みついた匂い。
そして、この体は…開八神茉莉のものであった。