天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「面白い!貴様は!」

真田は落ちた煙草を踏みつけると、俺の顔をまじまじと見た。

「今まで、人間を家畜としか見ていなかったお嬢様が、貴様に惹かれた意味がわかった気がする」

そう言うと、真田はフッと笑った。

そして、俺に背を向けると、猫沢達に命じた。

「お嬢様のお帰りだ」

「は!」

3人は頭を下げると、俺の方に来ようとした。

「待て!話は終わっていない!」

俺は、真田の背中を見つめ、

「お前達は、いつもこんなことをして、お嬢様に血を飲ませていたのか!」

睨みつけた。

真田は足を止め、

「たまにだ。どうして、血が必要な時がある」

振り返らずに言った。

「何万人もか!」

「少ないものだ。人間は、第二次世界大戦から、増え過ぎている」

「そんなに殺したら、世間にばれるはずだ」

「ばれんよ。先進国で殺人があれば、1人でも騒ぐが…発展途上国で、何人死んでもあまり騒ぎにはならない」

「そんことはない!誰かが、知らせる!今は、ネット社会だ。すぐに広まるはずだ」

「ガキの考えだな」

真田は笑った。

そして、少し振り返ると、

「ネットが安全だと思っているのか?誰が書いたのかは、すぐにわかる。すぐに始末できる。焙り出す必要もない。自ら居場所を教えてくれるのだからな」

「!」

俺は、真田の言葉に絶句した後、ゆっくりと両拳を握り締めた。

すると、自然と殺気と混じった魔力が全身から溢れ出した。

「?」

真田は、目に見える殺気に片眉を跳ね上げた。

今度は、俺から真田に近付いた。

「まさか、お前達が!この世界を壊そうとしている首謀者ではないだろうな?」

俺の質問に、真田は笑い、ゆっくりと前を向いた。

「我々は人を救おうとしている。しかし、これだけは言おう」

目を閉じ、最後の言葉を吐いた。

「その為には、お嬢様と結婚しろ」

「は?」

俺は、首を捻った。
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