天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
今までの一連の流れを、体育館の上で見ていたサーシャは、九鬼の後を追うことにした。




「よろしいのですか?」

その様子を監視していたのは、他にもいた。

学園情報倶楽部のメンバーである。

隠しカメラからの映像を、パソコンに転送して見ていた舞の言葉に、高坂は肩をすくめて見せた。

「俺達が行っても、神レベルの戦いには邪魔なだけだ」

「そりぁ〜そうですけど」

舞だけではなく、その部室にいた者達が顔を見合わせた。

いつもなら、なにがなんでもいくのが、高坂だと思っていたからだ。

しかし、行かない理由は、他にあった。

「ブルーワールドと繋がる糸…。それが、まさか…この部室だとはな」

高坂は、天井を見上げた。

「それは、間違いありません」

舞は画面を、切り替えた。

「だとしたら、動く訳にはいかない。適材適所。我々には、ここを守る義務がある」

高坂は、手に持つ…ダイヤモンドの眼鏡ケースを握り締めた。





開八神茉莉の体を使うことのできるようになった俺は、自らの魔力を使うことなく、テレポートできた。

まるで、体に…2つのチャクラがあるみたいだが、混ぜる訳にはいかなかった。

テレポートアウト後、突然目の前に現れた漆黒の屋敷。

しかし、それをじっくりと見上げる暇もなかった。

「待っていたよ。イブ」

まるで、ここにテレポートするのを知っていたかのように、真後ろに赤星光一がいた。


「世界の崩壊が、始まる。だけどね。再生でもあるさ。君と僕がいればね」

「どういう意味だ?」

俺は、ゆっくりと振り向くと、光一を睨んだ。

「このことは、君の叔父である菱山五郎も知らぬこと」

光一は、肩をすくめた。

「人間が生き残る…いや、表現が違うな。ただ残す為には、この方法しかないと!君の執事は、悟ったのさ」

それから、ゆっくりと両手を広げ、

「だから、おいで…。僕の胸の中に」

にこっと微笑んだ。

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