天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「クッ!」

空中を飛び回りながら、炎の翼から火の玉を放つが、アルテミア達には効かなかった。

俺は顔をしかめると、床に着地した。

「観念したか!」

部屋の隅で、腕を組みながら様子を見ていた光一の顔に、笑みが浮かぶ。

「イブよ!次に目覚めた時には、俺を受け入れた後よ!」

アルテミア達は同時に、雷撃を放とうとしていた。

もう避けれない。

光一がそう確信する中、俺は空中に手を突き上げた。

「来い!」

俺の叫びに呼応したかのように、空間を破って、2つの回転する物体が飛んできた。

「あ、あれは!?」

光一は、目を見開いた。

回転する物体は、アルテミア達の間をすり抜けると、俺の手に向かってくる。

「う、撃て!」

焦った光一の命令に、アルテミア達が雷撃を放った。

しかし、すべての雷は…俺の手にあるライトニングソードによって、吸収された。

「な!?」

「モード・チェンジ」

間髪を入れずに、俺はフラッシュモードの速さで空中にジャンプした。

そのコンマ零秒の間に、ライトニングソードをシャイニングソードに変えた。

そして、空中に浮かぶアルテミア達を斬り裂いた。

着地とジャンプ。

それを数十秒の間に繰り返し、アルテミア達のほとんどを斬り裂いた。

しかし、流石は…アルテミアのコピーである。

何人かは、床におりると、同じくフラッシュモードになった。

「うおおおっ!」

俺はシャイニングソードに握り締めると、床を蹴った。

数十秒後…部屋の中で 立っていたのは、光一と…ボロボロの学生服を着た俺だけだった。

――パチパチパチ。

部屋内に、光一の拍手が響いた。

「素晴らしい!流石は、イブ!あんな雑魚の女達とは違う。それに、その武器!神が持つに相応しい」

うっとりとした表情で、シャイニングソードを見つめる光一。

「ふざけるな!」

俺はふらつきながら、シャイニングソードを光一に向けた。

「命をなんだと思っているだ!」

俺の叫びに、光一は答えた。

「王の!神の!貢ぎ物に過ぎない」
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