天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「ここは…」
一面の砂に覆われた世界に、西園寺俊弘は、立っていた。
「うわああああっ!」
彼のすぐそばで、砂が盛り上がると、苦悩の叫びをだしながら、人の形になった。
「お、俺は!まだ、まだ諦めんぞ!」
砂は、ジャック・ウィルソンになると、どこにいくでもなく…ふらふらと歩き出した。
「…」
その様子を無言で見つめていた西園寺の後ろに、赤いワンピースを着た女が立っていた。
「どう?満足できた」
気配を感じさせなかった女の登場にも、西園寺は驚くことなく…女の名前を口にした。
「河野和美…。真紅の歌姫」
西園寺は口許に笑みをたたえながら、振り返った。
「あなたこそ、満足しているんですか?こんな世界にずっといて」
「あたし?」
和美は微笑み返すと、言葉を続けた。
「満足しているわ。だけど…いずれはね。しばらくは、この世界に留まるつもり。死んでもなお、砂となり…ここに来る人の為にね」
「フン」
西園寺は、鼻を鳴らすと、前を見て、
「生きていたら、偽善者と罵ったかもしれない。だけど…死んだ今も、貫く意思ならば」
目を閉じた。
「…」
和美は、西園寺の背中を見守るように、見つめ続けた。
数分後、西園寺は再び話し出した。
「俺は…生まれた世界に絶望していた。しかし、ブルーワールドに召喚され、力を得た時…世界をコントロールして、まとも社会をつくろうとした」
西園寺はゆっくりと、目を開けた。
もう一度、砂だけの世界を見回し、
「本当は…そんな権力や力よりも、1人の女性が欲しいかった!それは、今も!」
ぎゅっと拳を握り締めた。
「…」
和美は、無言で頷いた。
「だけど!それは、構わぬ夢!永遠に求め!永遠に愛しているならば」
西園寺は、ゆっくりと振り返った。
その目には、涙が溢れていた。
「その気持ちを捨てよう」
微笑んだ西園寺の体が、砂の世界に吹く風によって、削られていく。
一面の砂に覆われた世界に、西園寺俊弘は、立っていた。
「うわああああっ!」
彼のすぐそばで、砂が盛り上がると、苦悩の叫びをだしながら、人の形になった。
「お、俺は!まだ、まだ諦めんぞ!」
砂は、ジャック・ウィルソンになると、どこにいくでもなく…ふらふらと歩き出した。
「…」
その様子を無言で見つめていた西園寺の後ろに、赤いワンピースを着た女が立っていた。
「どう?満足できた」
気配を感じさせなかった女の登場にも、西園寺は驚くことなく…女の名前を口にした。
「河野和美…。真紅の歌姫」
西園寺は口許に笑みをたたえながら、振り返った。
「あなたこそ、満足しているんですか?こんな世界にずっといて」
「あたし?」
和美は微笑み返すと、言葉を続けた。
「満足しているわ。だけど…いずれはね。しばらくは、この世界に留まるつもり。死んでもなお、砂となり…ここに来る人の為にね」
「フン」
西園寺は、鼻を鳴らすと、前を見て、
「生きていたら、偽善者と罵ったかもしれない。だけど…死んだ今も、貫く意思ならば」
目を閉じた。
「…」
和美は、西園寺の背中を見守るように、見つめ続けた。
数分後、西園寺は再び話し出した。
「俺は…生まれた世界に絶望していた。しかし、ブルーワールドに召喚され、力を得た時…世界をコントロールして、まとも社会をつくろうとした」
西園寺はゆっくりと、目を開けた。
もう一度、砂だけの世界を見回し、
「本当は…そんな権力や力よりも、1人の女性が欲しいかった!それは、今も!」
ぎゅっと拳を握り締めた。
「…」
和美は、無言で頷いた。
「だけど!それは、構わぬ夢!永遠に求め!永遠に愛しているならば」
西園寺は、ゆっくりと振り返った。
その目には、涙が溢れていた。
「その気持ちを捨てよう」
微笑んだ西園寺の体が、砂の世界に吹く風によって、削られていく。